レッド・ドーン



★film rating: C+
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。

ある日突然、全米各地が北朝鮮軍によって占拠された。シアトル郊外では犬猿の仲の兄弟、休暇で故郷に戻って来ていた海兵隊隊員ジェド(クリス・ヘムズワース)と、大学アメフト選手マット(ジョシュ・ペック)らが命からがら逃げ出し、森の中に立てこもる。やがてジェドは少しずつ集まって来た若者たちを束ねてゲリラ部隊を組織し、訓練し、抵抗を開始する。


1984年の青春アクション映画『若き勇者たち』のリメイクで、あちらは旧ソ連軍が敵役でした。同作の監督と脚本は、タカ派で知られるジョン・ミリアスケヴィン・レイノルズと共同脚本)。公開当時の日本では、戦意高揚タカ派映画として批評家からは叩かれていましたが、私は未見です。今回の現代版では、ソ連の代わりにハリウッド映画で旬の悪役・北朝鮮となっており、原題の「赤い夜明け」を変える訳にはいかなかったのかと微苦笑を誘われます。そもそも日本の都道府県並みの国家予算の国が、大国を占拠出来る訳が無いではないか…というのには一応言い訳がされていますが。


それはともかく上映時間90分余とコンパクト、スケールは大きい設定ですが内容もかなりコンパクトでした。TVの洋画劇場で放映される為にカットされた、短縮版を見せられたかのよう。序盤における大量の落下傘部隊が郊外住宅街に降り立つ画等、映画的に魅力的なものもあるにはありますが、お手軽安手なハリウッド製アクション映画の範疇を出ていません。主役兄弟以外は殆ど個性を与えられていない脇役達。ゲリラ戦というより単なる爆発と銃撃のみの戦闘。手振れ接写撮影の多用で何が何やら分かりにくいアクション。エトセトラ、エトセトラ。これが初監督のダン・ブラッドリーは、ジェイソン・ボーン・シリーズの2-3作目や、『007/慰めの報酬』等の大作映画での第2班監督、もしくはアクション・コーディネーターをしている人です。いわばその道の大家の筈なのに、アクションの緊張感や迫力はそこそこあるけれども、近年ハリウッドを汚染している接写手ぶれ接写の多用は、はっきり言って勘弁してもらいたい。せめて戦意高揚タカ派映画であっても、ゲリラ戦も素人ながら計画を立てて北朝鮮をやっつける…という、後ろめたいながらも爽快感のあるアクション映画に徹すれば良かったのに。作り手達の覚悟の無さにがっかりです。


前半はそこそこ観られるものの、敵陣に乗り込む山場が設定されているにも関わらず、後半は失速気味で長く感じられました。これは監督や編集の力量によるものでしょう。レンタルする場合でも、新作落ちで観るのに充分な出来でした。


実は私が映画を観ている間に1番気になったのは、弟役ジョシュ・ペックが『ブラジルから来た少年』の、あの「少年」にそっくりな事。もうね、最後まで気になって気になって仕方無かったですよ。30数年経って顔が殆ど変っていない!と。いや、勿論そんな事はないのですが。予想もしなかった鑑賞ノイズで困りました。


レッド・ドーン
Red Dawn

  • 2012年|アメリカ|カラー|93分|画面比:2.35:1
  • 映倫:G
  • MPAA (USA): Rated PG-13 for sequences of intense war violence and action, and for language.
  • 劇場公開日:2013.10.5.
  • 鑑賞日:2013.10.5.
  • 劇場:TOHOシネマズ ららぽーと横浜6/公開初日の土曜23時25分からの回は15人程の入り。
  • 公式サイト:http://reddawn-film.com/ 予告編、作品紹介、ニュース等。