エンド・オブ・ホワイトハウス



★film rating: B
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。

とある事件により、心を通わせていた大統領(アーロン・エッカート)直近の警護を解かれ、閑職に追いやられた元凄腕シークレット・サービス・エージェントのマイク・バニングジェラルド・バトラー)。心の傷は癒えぬままだったが、独立記念日翌日のD.C.を未曾有の大型テロが襲う。大規模で完全武装をしたテロ集団は、あっという間にホワイトハウスを陥落させ、地下基地にて大統領や閣僚を人質に取ってしまったのだ。下院議員長(モーガン・フリーマン)らが緊急対策会議を行う中、官邸に侵入出来たマイクから連絡が入る。下院議長らの命を受け、人質を奪還せんと単独行動を試みるマイクだったが。


明らかに『ダイ・ハード』の後継者たらんとしている大型アクション映画です。序盤のとある事故場面もですが、アントワン・フークアらしい緊迫感が持続し、序盤以降の激しいアクションが楽しめます。序盤のワシントンD.C.及びホワイトハウス攻撃は、近年でも最大規模の大アクション。これは映画館で観るに値するくらいの迫力でした。本家が新作『ダイ・ハード/ラスト・デイ』で空中分解したのに対し、こちらは徹頭徹尾シリアスに危機また危機路線で押し切り、2時間を全く飽きさせません。でも本家のようなユーモアが欲しい。同じように、心に傷を抱えたシークレット・サービス・エージェントだったクリント・イーストウッドだって、『ザ・シークレット・サービス』では笑いという余裕があったではないですか。もっとも監督がフークアだからユーモアの無さは予想通り。あっても敵への残忍な拷問等、笑うに笑えないドス黒いものでした。銃や刃物を使った暴力描写も激しいアクションは、迫力満点です。しかしこれでPG12ですか。この映画と近い日に観た『バレット』はR15+。どっちもどっちだと思うのですが、相変わらず映倫のレイティング基準はよく分かりません。


紋切型の人物造形は面白くなく、豪華な役者達の顔触れで持ったという感じなのが正直なとこと。可哀想なのは国防長官役メリッサ・レオの扱いです。これが緊張感をもたらしていたのは確かですが。『ダイ・ハード』シリーズとの一番の差違は、主人公の敵に対する扱いです。結果的にやっている事は同じなのですが、こちらは冷酷非情で情け容赦ありません。それだけ切迫した状況という事でもありますけれども。


アクションとしてはいささか単調な面も目に付きます。ホワイトハウス内の構造を生かした場面等、面白い描写もあったものの、折角なのだから舞台を生かしたアクション・スリラーに徹してもらいたかった。また、基本的に銃撃と刃物による殺傷、格闘技ばかりなのも味気ない。ホワイトハウスの裏の裏まで熟知した主人公が大勢の敵相手に立ち向かうのですから、その知識を生かしたトラップを仕掛けるなどして、ゲリラ戦に持ちこんでもらいたかった。作り手は設定で満足したのか、細部の工夫が殆ど見られないのは残念でした。


エンド・オブ・ホワイトハウス
Olympus Has Fallen

  • 2013年|アメリカ|カラー|120分|画面比:2.35:1
  • 映倫:PG12(全編にわたり殺傷出血が数多くみられるが、親又は保護者の助言・指導があれば、12歳未満の年少者も観覧できます。)
  • MPAA (USA): Rated R for strong violence and language throughout.
  • 劇場公開日:2013.6.8.
  • 鑑賞日時:2013.6.8.
  • 劇場:TOHOシネマズ ららぽーと横浜7/公開初日の土曜深夜のミッドナイトショウ、0時5分からの回は30人の入り。
  • 公式サイト:http://end-of-whitehouse.com/ 予告編、作品情報、プロダクションノート、人物相関図、乃木坂46のコメント動画等。