モネ・ゲーム



★film rating: B
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。

印象派のモネの代表作「積みわら」の連作には、第二次世界大戦終戦の混乱期に消えた1枚が存在していた。ロンドンの美術鑑定家ハリー(コリン・ファース)は、この消息不明のモネの名画を使った贋作詐欺を企てる。自分をコケにし続けている雇い主の億万長者にしてメディア王シャバンダー(アラン・リックマン)からを騙して、大金を巻き上げようというのだ。贋作が得意な相棒の少佐(トム・コートネイ)と共に、”絵の持ち主”としてテキサスのカウガールPJ(キャメロン・ディアス)を引き込み、ハリーの単純かつ完璧な計画通りに事が運べば、15億円の大金が舞い込んでくる…はずだったのだが。


近年のコーエン兄弟のコメディ映画(例えば『レディ・キラーズ』『バーン・アフター・リーディング』)には余り感心していなかったので、その脚本作にも期待していませんでした。ところが意外にも面白かった。終幕が結構ドライなのが彼ららしい。主役3人も楽しかった…のですが。まぁ色々と問題はありましたけれどもね。


こういう泥棒映画というか詐欺映画、話の展開と語り口が上手いとハマるものです。その点でも楽しめました。もちろん、もう少し演出に洒落っ気があれば…とか思いましたが、『素晴らしき日』『真夏の夜の夢』『終着駅 トルストイ最後の旅』といった、「もう少し…惜しい」との印象が強いマイケル・ホフマン監督にしては、結構良かった方でしょう。ハンサムなコリン・ファースのダメっぷりも可笑しかったですが、あと10歳若くても良かったでしょう。そしてキャメロン・ディアス。『ナイト&デイ』を観た時にも感じたように、さすがに年齢的に辛いものがありました。いやお似合いの役だし、身体を張って頑張っていますが、これはどう見てもあと10歳以上若い女優の役です。こういう役を演じられる名の通った女優が、ハリウッドでは他に居ないという事情は想像が付くものの、そろそろ後継者が欲しいところ。かつてのメグ・ライアンのように、その内に見ていて辛くならないと良いのですが。


主役3人ではアラン・リックマンが特に素晴らしかったです。上手いなぁ。観ているだけで楽しくなります。ハリーの思い込んでいた人物像と、実像の人物像、さらに…と各ギャップも可笑しく、卑しくて堂々としていて嫌味で楽しくてセクシーで。こういう引き出しの多い演技を見せられるのが、プロの「役者」なのです。それとトム・コートネイの滋味が妙に可笑しくて楽しい。また、久々に大画面で観る気恥ずかしい存在の日本人団体も、偽悪的扱いで面白かった。本来はもう少しスリリングになっても良い場面もあるのですが、そこら辺はくすくす笑える程度。でも上映時間も短く、その間は気楽に楽しめたので良しとしましょう。


オリジナル版の『泥棒貴族』(1966)は題は知っていても未見。どうやら設定等がかなり本作と違うみたいですが、マイケル・ケインシャーリー・マクレーンという顔合わせは観てみたいですね。


モネ・ゲーム
Gambit

  • 2012年|アメリカ|カラー|89分|画面比:2.35:1
  • 映倫:G
  • MPAA (USA): Rated PG-13 for some suggestive content, partial nudity and a rude gesture.
  • 劇場公開日:2013.5.17.
  • 鑑賞日:2013.5.20.
  • 劇場:TOHOシネマズ ららぽーと横浜6/平日月曜夜20時25分からの回は、観客十数人の入り。
  • 公式サイト:http://monetgame.gaga.ne.jp/ 予告編、作品紹介、壁紙など。