ザ・レイド



★film rating: B+
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。

インドネシアジャカルタのとある朝、SWAT隊員20名が高層20階建てのビルに突入した。彼ら目的は最上階に陣取る麻薬組織のボス、タマ・リヤディの逮捕だ。しかしビルはギャングの巣窟。ボスによって外界への扉を閉ざされ、ビル内に閉じ込められたSWAT部隊に、次から次へと武装したギャングどもが襲撃して来る。新人警官ラマ(イコ・ウワイス)らは、無事に最上階に辿り着け、目的を達せられるのか。


会社帰りに渋谷で映画なんて、何年振りだか。平日水曜日18時45分からの回は、私を入れて10人くらいの入りです。ネットではかなり話題になっているのに、不入りを伝えられていましたが、やはりそうですか…。馴染みの無いインドネシア映画だし、監督は無名のウェールズ人、キャストも無名のインドネシアの格闘家ばかりですしね。でもこれは観逃すには惜しい大アクション映画なのです。


上映時間102分の殆どがアクション、等と言われている程には全編アクションではないけれども、こちら側のアドレナリンが噴出する「アクション満載」映画で、とても面白かったです。延々続く格闘アクションがダレる事はなく、むしろ緊張度が上がって行くのだから凄い。殴る、蹴る、突き飛ばすだけでなく、銃器で撃つ、ナイフや刀で刺す、等との素早い複合技を連発。出血多量の血生臭い描写満載なのに、観ていて嫌味がありません。これは登場人物が序盤退場のザコキャラを除いて、皆が皆、強過ぎるという現実離れした趣向のお蔭でしょう。だってビルの中にいるギャングども、SWAT隊員も、皆笑っちゃう程に身体が動く!早い!殺す!インドネシア総合格闘技というシラットが全編フィーチャーされていて、これを観るだけでも面白い。人間の素晴らしい身体能力をスクリーンで鑑賞するのは、やはり楽しいですね。こういう映画を観ると、アクション映画って何て面白いのだろうと思います。


序盤は派手な銃撃アクションを用意していますが、マズルフラッシュ(発砲時に銃口から吹き出す閃光)を用いたトリックを用意していたりして、質より量でなく、ちゃんと小技も効かせています。また下から上に登って行くだけではなく、時々下に落ちたり降りたり、また登ったりで、高低を生かした趣向が楽しい。スタッフはアクション映画が本当に好きなのでしょう。脚本も突っ込み所はありつつも、意外に工夫されていて、またアクションに奉仕していました。映画には格闘の恐怖、銃器の恐怖、刃物の恐怖も描かれていて、これは主役のラマ役イコ・ウワイスと、ボスの手下の物凄く強い殺し屋マッド・ドッグ役ヤヤン・ルヒアンという、実際に動ける格闘家を起用したのが大きい。高所恐怖症人間としては、高所の怖さが分かるショットが1つでもあれば…と思いましたが、それも些細な瑕疵です。監督と脚本を手がけたギャレス・エヴァンスは要注目の新人ですね。


ザ・レイド』を観ながら思い出したのはタイ映画の『マッハ!!!!!!!!』。正直に言ってあの衝撃には及ばなかったですが、こういう映画を観てしまうと、観る側もアクションのさらなる高水準を求めてしまうものですよ。


DVDでも良いから、機会があったら是非ご覧あれ。お勧めです。


ザ・レイド
Serbuan maut (a.k.a.: The Raid: Redemption)

  • 2011年|インドネシア|カラー|101分|画面比:1.85:1
  • 映倫:R15+(銃器・刀剣等による数々の殺傷・鮮血飛散及び処刑の描写がみられ標記区分に指定します。)
  • MPAA (USA): Rated R for strong brutal bloody violence throughout, and language.
  • 劇場公開日:2012.10.27.
  • 鑑賞日:2013.11.21.
  • 劇場:シネマライズ渋谷/平日水曜18時45分からの回は10人程の入り。
  • 公式サイト:http://theraid.jp/ 大迫力の予告編、シラット入門した女性宣伝部員の記事、ゲーム等。