ソウル・サーファー



★film rating: B
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。

ハワイに家族と住むサーファー少女ベサニー(アナソフィア・ロブ)は、親友と共にスポンサーも付いて将来の有望株。だがある日、練習中に右腕をサーフボードごと鮫に食いちぎられてしまう。辛くも一命を取り留めたものの、日常生活にも多大な支障が出てしまう。生きがいであったサーフィンですら、片腕だけでは海上のボードに乗るだけでも大変なのだ。大会でも惨敗したベサニーは、一度はサーフィンから離れてしまう。


実在のサーファー、ベサニー・ハミルトンを題材にした青春スポーツ・ドラマです。鮫に襲われる場面がいきなりホラーだったらどうしようかと少々ビビっていましたが、サメの登場は1ショットのみ。出血量は凄かったけどホラーにならずホッとしました。映画は片腕を無くした天才サーファー少女とその家族を中心にしたドラマで、最後までそこはブレません。


主演のアナソフィア・ロブって『チャーリーとチョコレート工場』のこまっしゃくれた少女役でしたか。美少女に育ったものです。スターとしての資質もあり、映画の文字通り中心的存在でした。でも両親役デニス・クエイドヘレン・ハントも十分に印象に残ります。映画を観る前は主人公ベサニーがだんとつの主役かと思っていたが、そうではなく、それぞれ苦悩する両親家族の物語でもありました。彼らはどんな試練にも、神が与えたものだとの信念により乗り越えようとします。5人家族で日曜は教会に行き、食事前には神に祈る。明るく仲が良い、理想的なアメリカの家族像でもあるのです。これは信心深い家族の物語でもあるのでした。だから終幕の大会、家族全員が応援する姿に余計に感情移入してしまいます。


でも撮り方はもう少しタメが欲しかった。クライマクスは静かな予兆や間が必要な筈(台詞にもある)なのに、延々曲が入ってしまいます。これは作曲家マルコ・ベルトラミではなく監督ショーン・マクナラマの方針なのでしょう。環境音だけの短い間を使って、静とその後の動のコントラストを使えば、もっと盛り上がったろうに…等と考えてしまいました。


片腕になったベサニーだけでなく、サーフィン場面も含めて劇中では大量のVFXが使われています。非常に高度なのではありますが、その分、往年のサーフィン映画のような「実際にサーフィンしているのを大画面で観られる感動」には欠けていました。私の中ではサーフィン映画のマイルストーンは『ハートブルー』なので、あれくらい迫力ある画を期待していたのです。


とは言え、実話ものとは言えスポコン感動ドラマのフォーマットは外さず、手堅く作られた平均作。全体的に演出にもう少し緩急が欲しかったですが、観ている間は素直に楽しめたし、感動もそれなりに出来た映画でした。悪くないのに日本ではヒットなかったのは残念です。


ソウル・サーファー
Soul Surfer

  • 2011年 / アメリカ / カラー / 106分 / 画面比:2.35:1
  • 映倫:G
  • MPAA (USA):Rated PG for an intense accident sequence and some thematic material.
  • 劇場公開日:2012.6.9.
  • 鑑賞日時:2012.6.15.
  • 劇場:TOHOシネマズ ららぽーと横浜6/金曜23時10分からの回、劇場は私を入れて9人とは寂しい…
  • 公式サイト:http://disney-studio.jp/movies/soulsurfer/ 予告編、ブルーレイ&DVD紹介のみ。