ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン



★film rating: B+
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。

主人公は、手作りケーキ店の経営に失敗し、恋人に去られ、ハンサムだけど最低な性格のセフレ(ジョン・ハム)がいて、ルームシェアも追い出されそうな、どん詰まり30代アニー(クリステン・ウィグ)。ある日彼女は、長年の親友リリアン(マーヤ・ルドルフ)の結婚式のメイド・オブ・オナー(花嫁介添人のまとめ役)を頼まれる。張り切るものの、他のブライズメイズも一癖も二癖もあって空回りし、やがてリリアンとの仲にも亀裂が入り始める。


邦題が『ブライドメイド』とならず、ちゃんと原題通りに複数形になっているところが、配給会社東京テアトルの意地を感じさせますね。『セックス・アンド・シティ』と比較される映画だけど、私はあちらは全くの未見です。脚本は主役のクリステン・ウィグとアニー・ムモーロと女性2人によるものですがが、兎に角凄い。何が凄いって、台詞も汚いエロネタ、ゲロ、スカトロと超の付くお下劣映画で、私が観た回では途中で怒って退場した壮年カップルも居ました。これは身も蓋も無い映画そのもの。が、実は真っ当な友情物語にまとめあげられていた大笑いコメディ映画でもあるのです。上映時間が125分もあるのでもう少し尺を切れそうなのですが、これは各コメディエンヌ達の身体を張った芸を楽しもうと思えば良いのかな。全体の構成にムラがあるとか気になる点はあるものの、ここまで吹っ切れた「女性」コメディ映画は初めて観ました。でも男性である私にも十分楽しめ、笑え、共感出来たのも、スタンダードな娯楽映画、ドラマ映画のフォーマットに則っていたからです。ヒロインが堕ちるところまで堕ちても、最後に這い上がって行く構成は、段取りも含めて案外古典的な作りなのです。


映画を観て、終幕に台詞の力に頼るのは古典的アメリカ映画だな、と思いました。アメリカ人は言葉の力を信じている、と。同時に、アメリカ人が政治をまだ信じているのは、政治は「言葉」だからでしょう。それと共通しているのかも知れませんね。それは多民族国家において、英語という共通言語を持っているから、言葉を信じるという精神的土台があるからなのではないでしょうか。日本映画だと、このようにクライマクスを言葉で盛り上げる場合が少ないように思いました。これも国民性とひとくくりにして良いのか迷いますが、興味深い点です。


このクライマクスで場面をさらうのは、デブでチビで言動がアブないミーガン役のメリッサ・マッカーシー。お下劣も引き受ける度胸もありますが、彼女は可笑しかった。この映画では、オリジナル脚本賞と彼女のアカデミー賞助演女優賞の候補になっており、普段はアカデミーに対して斜めに見てしまう私も、なかなかやるじゃないか、と思ったのでした。


ブライズメイズ』のような映画を観ると、やはりコメディは劇場で観るものだと思います。大勢で笑えるのは楽しい経験になりますから。これは是非、観るときは1人ではなく何人かで楽しんでもらいたい。但し、特に前半がお下劣過ぎてドン引きする方もいらっしゃるでしょうが。


お勧めのコメディ映画です。


ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン
Bridesmaids

  • 2011年 / アメリカ / カラー / 125分 / 画面比:2.35:1
  • 映倫:R15+(刺激の強い性愛描写、性的台詞並びに罵倒語の使用がみられ、標記区分に指定します。)
  • MPAA (USA):Rated R for some strong sexuality, and language throughout.
  • 劇場公開日:2012.4.28.
  • 鑑賞日時:2012.5.1.
  • 劇場:ヒューマントラスト渋谷1/映画の日である平日水曜日11時45分からの回、200席の劇場は6割以上の入り。
  • 公式サイト:http://bridesmaidsmovie.jp/ 予告編、作品情報、公式Facebookへのリンクなど。