スノーホワイト
★film rating: B-
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。
スノーホワイト(クリステン・スチュワート)は王家に生まれ、身も心も美しく育った少女。だが実母亡き後に嫁いで来た継母である王妃ラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)に父王を殺され、国を乗っ取られ、自らも7年間幽閉されてしまう。王妃ラヴェンナに殺される前に逃げ延びたスノーホワイトは、刺客として差し向けられた狩人(クリス・ヘムズワース)や小人達らと手を組み、幾多もの危機を逃れる。やがてスノーホワイトに忠誠を誓う諸侯らを中心にした抵抗軍を組織し、王妃の居る城に攻め入るときがやって来た。
白雪姫の物語を大型ダーク・ファンタジーとして描いた話題作です。予想以上にファンタスティックな設定や映像が出て来て、且つ宮崎駿の『もののけ姫』の影響が濃くて驚きました。序盤は『グラディエーター』を想起させるショットもちらほら。麦畑の穂先ぎりぎりの高さのキャメラで人物の後を追うショットや、森の中の広場での戦い等がそう。ラッセル・クロウ同様にクリステン・スチュワートの爪も丸く膨らんでいて、どこか内臓でも悪いのかと気になってしまいました。
ルパート・サンダースという新人の初監督作品ですが、映像も含めてちゃんとした劇映画として仕上がっているのは有難かったです。有難くないのはクリステン・スチュワートで、明らかにミスキャスト。常に口半開き&悲しげな目元でほぼ全編押し通す度胸はある意味天晴れで、周囲の役者の演技を浮かび上がらせる効果もてきめん。心理のひだとか成長とかがまるで感じられず、後半の蜂起場面も危なっかしい。これではまるで、リュック・ベッソンの駄作『ジャンヌ・ダルク』でのヒステリックなミラ・ジョヴォヴィッチ状態です。貫禄とかカリスマ性が感じられないので、何故民衆がひ弱なだけの彼女の為に蜂起するのか、まるで分かりませんでした。こんな大根女優が何故スターなのかも理解に苦しみますが、未見の『トワイライト』サーガはワンパターン演技でも通用するのだろう、と勝手に想像しています。
反対に名優達が縮小されて小人役なのは可笑しい。贔屓のニック・フロストも、ボブ・ホスキンスやイアン・マクシェーン、レイ・ウィンストン(最近、ホントによく見ます)らヴェテラン勢の中ではまるっきり可愛いもの。悪の女王役シャーリーズ・セロンはさすがに期待に応える悪役振りで楽しかったです。
大方の予想通りに、幼い頃から幽閉されて国政どころかろくに教育も受けていない主人公が、最後には女王になります。国の先行きが思いっ切り不安になる結末…と思ったのは、日本の政治の現状に憂いているからでしょうか。さらに目覚めのキスをしてくれた狩人の存在は結局何だったんだ??後半はそんな風に色々と気になり、前半の方が単純に楽しめました。
VFXはインビジブル系は全体にとても良く出来ていましたが、生物系は如何にもCG臭かったです。『アバター』や『第9地区』等は、やはり技術的に凄かったのです。
スノーホワイト
Snow White and the Huntsman