ロボッツ


★film rating: B-
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。

全ロボット憧れの的である大発明家ビッグウェルド(声:メル・ブルックス)に会う為に、若きロドニー(声:ユアン・マクレガー)は、故郷を出て大都会のロボット・シティにやって来た。しかしそこにはビッグウェルドの姿は無く、彼の企業は暴君経営者ラチェット(声:グレッグ・キニア)の横暴がまかり通っていた。陰謀の匂いを嗅ぎ付けたロドニーは、仲間のポンコツ・ロボットたちと一緒に、圧制に立ち向かおうとする。


一瞬、実写かと見紛う程のリアルな表面処理に驚かされる。『アイス・エイジ』(2002)で大ヒットを放ったブルー・スカイ・スタジオが、同じく監督クリス・ウェッジを立てて製作した、登場人物は全てロボットのCGIアニメだ。『アイス・エイジ』は未見で、これがブルー・スカイ作品初鑑賞だったが、これを観る限りでは技術的にはピクサーに引けを取らない印象を受けた。リアルな質感の上、アニメらしく誇張されたデザインと動きは、観ていて楽しめる。


各登場人物はユニークな造形だし、声を当てているスター達も楽しんでいるのが伝わってくる。さらに、朴訥な青年が似合うマクレガーに、楽天的な老発明家に久々メル・ブルックス。悪辣だが実はマザコンのエグゼクティヴにグレッグ・キニア、と役者は揃っている。意外なのはラチェットの母親役にジム・ブロードベントを当てて来たこと。これがハマり役で、この名優のコメディ・センスも発揮されて嬉しい。


嬉しいと言えば、ロビン・ウィリアムズが、彼お得意の騒々しい役に久々に起用されたことが挙げられよう。『アラジン』(1992)程の思いっ切りな開放感には届かないものの、この所妙にシリアスな役が続いていたこともあって、ファンとして彼の早口話芸が楽しめた。こういったキャストに比べると、大して見せ場の無いハル・ベリーなどは印象に残らず、豪華スター起用が効果を上げていない部分が気になる。


これは脚本の練り上げ不足によるものだろう。古い製品をサポートするのはさっさとやめて、ヴァージョン・アップして高く売りつけよう、とするラチェットらの姿に、マイクロソフトの企業姿勢への風刺を見ることは出来るし、なるほどそれはそれで面白い。でも、巨大企業に対して力の無い多数の者が対抗する物語が、力には力だとばかりに大乱闘になるクライマクスに雪崩れ込むのを観るにつけ、結局は力による解決という知恵の足りない結末として、落胆させられる。なるほど、幼い観客は単純に楽しめる作りかも知れない。それでも大人にとっては安易との印象は否めないし、ましてや子供向けならば、余計に内容への配慮が必要だったのではないだろうか。


ロボッツ
Robots