ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月


★film rating: C+
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。

前作から6週間後。理想の恋人である人権派弁護士マーク・ダーシー(コリン・ファース)と蜜月のブリジット(レネー・ゼルウィガー)は幸せいっぱいの筈だったが、早くもすれ違いが起きてしまう。そんな折、以前付き合っていたかつての上司で女たらしのダニエル(ヒュー・グラント)と一緒の仕事が舞い込んで来る。


日ごろ特に努力するでもなく、白馬の王子様を待っている女性のファンタシーであり、それ以上でも以下でも無い映画。と書くと、意外に内容は現代調から外れて古臭いか。いや、それが悪いというつもりはない。前作は少女漫画が無い国の少女漫画映画として結構楽しませてもらった。太めのブリジットが巻き起こす様々なドジでも笑わせてくれたが、続編はその体重と共にスケールアップ。大空で、スキー場で、海外で、と大活躍し、同じ英国産として男性向け劇画映画の元祖ジェームズ・ボンドに対抗せんとしている・・・筈は無いと思うが、お陰でギャグも物語も現実離れしている。今回は何故か振り向けば男も女もブリジットに惚れてしまうのだから、彼女がボンド化しているように見えるのは、あながち外れていないようにも思える。


まぁしかし、ヒット作の続編の常としてスケールアップは免れなかったのだろうけど、どうも観ていると無理して作られた映画に思えてしまう。原作からして海外を舞台にしたドタバタになっているらしいものの、果たしてそれが面白かったかと訊かれると、荒唐無稽化の映画への貢献度は低いと言わざるを得ない。気まずいホームパーティや恋人となったセクハラ上司など、もっと日常的な部分が面白かったのに、その日常感覚が希薄となっている。原作者ヘレン・フィールディングや名手リチャード・カーティスやらアンドルー・デイヴィスやら、脚本家は大勢いるのに、船頭多くして何とやらなのか。


では全く詰まらなかったかというと、実は案外そうでもない。それなりに楽しませてもらったのも事実である。


レネー・ゼルウィガーのアタマが悪くとも気の良い(ちょっと進歩的な思想の)ヒロインも、感情を押し殺して愛想は今1つでも、いざとなれば頼りになるハンサムな人格者役コリン・ファースも、相変わらず口が達者な最低男を最高に自然に演ずるヒュー・グラントも、皆個性を発揮していて楽しい。むろん、ブリジットの実家は相変わらず母親主導で可笑しいし、お馴染みとなったキャストたちの息もぴったり。くだけた雰囲気は前作以上となっている。その一方で親友たちの扱いが小さくなったのが少々寂しい。


実のところ、この映画の楽しみはお馴染みの登場人物たちとの再会だけ。あとは正直言って出来が余り良くないコメディだ。これは前作の大ヒットで生まれた、作られなくても良かった蛇足的続編映画の1本にしか過ぎず、それ以上の多くを求めたら失望するだろう。だから一点豪華主義的に楽しめる人にとってはそこそこ楽しめ、前作を観ていない人、もしくは面白く観られなかった人にとっては、左程面白くない可能性が高い作品なのである。


ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月
Bridget Jones: The Edge of Reason

  • 2004年/イギリス、フランス、ドイツ、アイルランドアメリカ/カラー/108分/画面比2.35:1
  • 映倫(日本):(指定無し)
  • MPAA(USA):Rated R for language and some sexual content.
  • 劇場公開日:2005.3.19.
  • 鑑賞日:2005.3.20./ワーナーマイカルシネマズ新百合ヶ丘2 ドルビーデジタルでの上映。3連休2日目の日曜21時20分からの回、280席の劇場は8割程度の入り。
  • 公式サイト:http://www.bj-diary.jp/ 予告編などの他に、理想の男性との相性チェック、ブリジットのファッション・チェックなど。当然ながら観客層を想定した宣伝サイト。