デッドコースター


★film rating: B
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。

惨なハイウェイ事故を事前に”観た”キンバリー(A・J・クック)によって、自らの死を回避できた人々。しかし死は、運命からは逃れられないとばかりに彼らに襲い掛かる。予想外の方法で。


何とも強引なインチキ英語の邦題のこの映画、原題は『Final Destination 2』。そう、れっきとした『ファイナル・デスティネーション』(2000)の続編なのだ。一般には意味が分かり難いと思われる前作の邦題よりも、今度の邦題の方がずっと良い。B級ホラーの勢いが伝わって来る。


映画本編はというと、そりゃ新鮮味とか怖さとかでは前作に劣るけど、こちらも楽しませてくれる。『マトリックス リローデッド』でのハイウェイ・チェイス場面のアクション監督だったという、デヴィッド・R・エリスの長編初監督作品は、くだんのハイウェイ事故場面も火薬とガソリンの多用が不自然で気になっても、迫力のあるツカミとして十分の効果だ。その後、事故死を逃れた各人の惨死場面も、如何にして観客の裏を書いて殺そうか、としゃかりきになっているスタッフの執念が伝わってきて可笑しい。


このシリーズで怖いのは、何気にある日常の物が突如凶器となる点にある。前作で言うと、包丁立ての包丁やシャワールームの紐等の、何気ない品々。画面に映るそういった品々が、次の瞬間には凶器となって襲い掛かるのだ。この不安感を盛り上げる演出は前作の方が上手かった。また前作以上の出血量を伴う惨死プロセスも、風吹いて桶屋が儲かった前作のような緻密さに欠け、落語のオチのような驚かせ重視になっている。そこが可笑しくもあり、残念でもある。スパゲティが凶器となるなんて、笑ってしまったけど。


前回のヒロインで今回も登場するアリ・ラーターに対する扱い等を観ても、定められた運命に対抗して己の人生は自分で決めるんだ、という強い意志を強調している。このテーマは前作以上に強調されているのだ。『ターミネーター3』といい、これといい、いかにもアメリカ映画らしい作りではないだろうか。だから映画は面白い。たかがホラーじゃないか、と馬鹿にされることの多いこのジャンル映画でも、こんな風にテーマが浮かび上がることもあるのだから。


荒っぽいけれども、適度な緊張感と笑いが楽しめる、ユニークな作品だ。


デッドコースター
Final Destination 2

  • 2003年/アメリカ/カラー/90分/画面比2.35:1
  • 映倫(日本):R-15指定
  • MPAA(USA):Rated R for strong violent/gruesome accidents, language, drug content and some nudity.
  • 劇場公開日:2003.7.5.
  • 鑑賞日:2003.7.18./ワーナーマイカルシネマズつきみ野5/ドルビーデジタルでの上映。金曜19:55からの回、186席の劇場は4割程度の入り。
  • パンフレットは残念ながら売り切れにて未入手。
  • 公式サイト:http://www.deadcoaster.com/ 予告編、サバイバル(笑)ゲームのクイズ、TV『世にも奇妙な物語』脚本家によるコラム、「あなたの寿命占います」コーナー、壁紙など。