ロシア・ハウス
★disc rating: A-
ロシア・ハウス(1990)
The Russia House
- 作曲:ジェリー・ゴールドスミス
- サックス:ブランフォード・マルサリス
- ピアノ:マイケル・ラング
- ベース:ジョン・パティトゥッチ
- 総演奏時間:61:33
- 解説:柳生すみまろ
- 発売日:1991年1月25日
- 発売元:WEAミュージック(株)
- 定価:税抜2,330円
- カーチャ(3:57) Katya
- はじまり(3:12) Introductions
- 会話(4:13) The Conversation
- 訓練(2:01) Training
- カーチャとバーリー(2:32) Katya and Berley
- 最初の名はイエイコフ(2:53) First Name, Yakov
- 旅立ち(2:11) Bon Voyage
- 会合(3:59) The Meeting
- I'm with You/What Is This Thing Called Love(2:39) アイム・ウィズ・ユー〜恋とは何でしょう
- 独りぼっち(4:09) Alone in the World
- 贈り物(2:34)The Gift
- 満点(2:27) Full Markes
- バーリーの恋(3:24) Barley's Love
- 私の唯一の国(4:34) My Only Country
- 交差(4:13) Crossing Over
- 取り引き(4:09) The Deal
- 到着(7:38)The Family Arrives
- "Alone in the World"
- Lyrics by Alan and Marilyn Bergman
- Performed by Patti Austin
- "What Is This Thing Called Love"
- Composed by Cole Porter
後に度々組むことになるフレッド・スケピシ監督との初顔合わせ。ショーン・コネリー&ミシェル・ファイファー主演のラヴ・ストーリー&スパイ・スリラーは、モスクワ観光映画としても成り立っていたが、ゴールドスミスもその趣と適度に入れ込む手堅い作り。特筆すべきはメロディの美しさ。1980年代のアクション・ホラー系に嫌気が差していた反動で、1990年代に入ってからの立て続けドラマ作品登板、その最初のものである。全体に力(ちから)が入っている。が、力んでいるのではない。その証拠に、聴いていて疲れる曲は皆無だ。ヒロイン登場の冒頭に流れる『1.』から、甘く切ないメロディが奏でられる。ブランフォード・マルサリスのサックスも情感豊かで良い。スパイ・スリラーらしく孤独・不穏な空気も体現している。
ジョン・パティトゥッチのベースは、主人公であるジャズ好き英国人の趣味を反映して、ジャジーな空気を醸し出していて秀逸。マイケル・ラングのピアノもロマンティックで良い。もちろん、マルサリスのサックスも文句無しで、このトリオとオケの組み合わせに異論はあるまい。相変わらずシンセの使い方も上手く、スリルを煽るシーケンサーや、『7.』でのきらめく音など、トリオ、オケとの違和感も全く無し。それらの成果が一挙に聴けるのが『17.』である。アドリブも聴き応えがある必聴の演奏だ。
と、ここまで書いて言うのも何だが、アルバムとしてはちょっと長いかも。映画音楽としての機能は十二分にしていても、CDで聴くのに適度な時間はあるかも知れないと思った、個人的には記念碑的(?)CDである。