メン・イン・ブラック2


★film rating: B
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。

地球に来た異星人を管理する当局メン・イン・ブラック本部は星間戦争に巻き込まれ、凶悪かつ冷酷非情な宇宙人(ララ・フリン・ボイル)に占拠されてしまう。この危機を救えるのは、今は地方の郵便局に勤めるあの男しかいない。今やヴェテラン・エージェントとなったJ(ウィル・スミス)は、早速行動に移す。


過度の期待をせずに、ぶらり映画館に立ち寄って軽く楽しむ。『メン・イン・ブラック2』はそういう映画だ。


1997年の大ヒット作『メン・イン・ブラック』の続編は、前作のラストでリアイアしたK(トミー・リー・ジョーンズ)の復活劇、と思わせてそこいらはさらりと描き、アップテンポで騒動を追う。何しろ上映時間は88分と最近の大作の中では群を抜いて短い作品。でもこの尺が作品の内容にぴったり合っているのだ。笑いもスリルもズバ抜けて凄い訳でもなく、適度に楽しませるという映画の格にはこの上映時間が似つかわしい。お陰でやや退屈気味だった前作よりも楽しめる仕上がりになっている。


一方、前作は特撮に負けない稀有な体質を持つウィル・スミスというスター誕生映画でもあった。今回も負けていないとはいえ、スミスの見せ場よりもちょいと特撮が多かったような気もした。ILMと特殊メイクの巨匠リック・ベイカーが楽しんで作っているのは分かるし、映画全体に漂うリラックスした雰囲気も悪くない。でもスミスと、いつものしかめっ面演技と左程変わらないのにコメディになっているジョーンズとの掛け合いを、劇中でもっと観たかったのが本音。だから満腹は出来ずとも適度に楽しめるというのが、やはりこの映画の身上なのだろう。


バリー・ソネンフェルドは『ワイルド・ワイルド・ウェスト』(1999)で大ミソ付けてちょっと不安だったけど、今回は快調な演出。派手は大スペクタクルも無くとも、早過ぎず遅過ぎずのテンポが心地良い。自らもカメオ出演して笑いを取っている。そうそう、リック・ベイカーも後姿で出ているんだよね。またいつものようにメイクして素顔が分からないかと思っていた、などと言うのはマニアの発言かな。カメオと言えばあっと驚く大スターも出演、しかも自らを笑いものにする役所が可笑しい。こういった楽しみもあって、軽めではあるものの内容スカスカではないのだ。


最近手抜き気味だったダニー・エルフマンの音楽も、得意のズンドコ節で映画のノリに貢献しているし、前作と同じく冒頭のタイトルデザインを担当したパブロ・フェローは、前作や『博士の異常な愛情』(1963)同様、手書き文字スタイルを提供している。レギュラー陣の充実した仕事振りも見ものの1つと言えよう。


メン・イン・ブラック2
Men in Black II

  • 2002年 / アメリカ / カラー / 88分 / 画面比:1.85:1
  • 映倫(日本):指定無し
  • MPAA(USA):Rated PG-13 for sci-fi action violence and some provocative humor.
  • 劇場公開日:2002.7.6
  • 鑑賞日時:2002.7.20.
  • 劇場:渋谷パンテオン/ドルビーデジタルでの上映。公開3週目土曜夕方からの回、1119席の劇場は4割程度の入りとは夏休み映画なのにちょい寂しい。ここと新宿ミラノ座限定で、スミスによる主題歌『BLACK SUITS COMIN'(NOD YA HEAD)』が予告編・CF等の前に上映されていた。
  • パンフレットは700円。オールカラー、主要キャスト・監督のインタヴューや、リック・ベイカー担当のエイリアンなどについて。
  • 公式サイト:http://www.mib2.jp/ MIB兵器紹介、エイリアン・ガイド、壁紙、スクリーンセーバー、予告編、ゲームなど、内容盛りだくさんで楽しいサイト。