チャーリーズ・エンジェル



★film rating: B
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。


チャーリーズ・エンジェル』は70年代の人気TVシリーズで、僕自身は再放送を恐らく1〜2回見たかどうか、と言ったところ。謎の大富豪チャーリーに雇われた探偵たち(皆、元婦人警官)が衣装替えも忙しく、悪党どもをなぎ倒す他愛の無いドラマだったようだ。そういやTV-CFで”レイク・エンジェル”が出ていたなぁ。テーマ曲は『黒いジャガー』(1971)そっくりで。『踊る大走査線』の影法師マークもチャリエンのパクリか。


リメイク流行りのハリウッドで今回これに目を付けたのは、『25年目のキス』(1999)で主演のみならずプロデュース業にも進出したドリュー・バリモアキャメロン・ディアスルーシー・リューらとエンジェルズに扮している。姿を現さないチャーリーとの仲介役にビル・マーレイ、チャーリー役は顔を出さずともオリジナル版と同じくジョン・フォーサイスが演じている。


このリメイク版は知能指数の高さを誇る作品では決してない。MTV出身のマックGの演出に特に冴えがある訳でも無く、さりとて脚本にヒネリが効いている訳でも無い。いや、はっきり言おう。これはそんな志の高い作品ではないのだ。


優秀なプログラマーが誘拐され、エンジェル達が事件に立ち向かう・・・などというプロットはあって無いが如し。脚本はどうしようもなくご都合主義が目立つし、荒唐無稽もいいところ。この映画にプロットなど求めようものなら無駄だ。その場その場で面白ければ良いじゃないか。そう開き直っている脚本なのだ。


この映画にあるのは、浮世を忘れて楽しければ良い。ただそれだけ。エンジェルたちの過剰なまでにフェロモン噴出の衣装、間抜けなギャグ(裸で笑いを取る場面あり)、意外にキレのあるクンフー・アクション、凄腕の殺し屋に何故かクリスピン・グローヴァー等々、その場その場で楽しんだもの勝ちだ。キャスティングではビル・マーレイトム・グリーン(ドリューのフィアンセね)といったコメディアンが全然使いこなされていないけど、タレントの有効活用の志は既に捨てられている。主役3人娘が大活躍して最後はハッピーエンドになれば良いのだから。


オリジナルTVでは、エンジェル達はモデル系のゴージャスな女性がキャスティングされていた。今回はかなり身近に感じられるスターが演じている。その中では背丈があってスタイル抜群のキャメロン・ディアスが、予想通りに一番目立っていた。


内容が無いくせにダラダラ2時間強の映画が多い中で、この作品の1時間半強の上映時間は身の程をわきまえたもの。この空っぽさにこれ以上の時間は無駄だ。そういった意味では、予想外に己を知っている映画とも言える。それが知性を備えているとは同義ではないにしても。


チャーリーズ・エンジェル
Charlie's Angels

  • 2000年 / アメリカ、ドイツ / カラー / 98分 / 画面比:2.35:1
  • 映倫(日本):指定無し
  • MPAA(USA):Rated PG-13 for action violence, innuendo and some sensuality/nudity.
  • 劇場公開日:2000.11.11.
  • 鑑賞日:2000.11.11./ワーナーマイカルシネマズ新百合ヶ丘1/SDDS
  • 公開初日の土曜日、新百合最大452席の場内は3割の入り。おまけにウケていた人も少ないのは寂しい。一番笑っていたのは自分かも?
  • プログラムは500円。美女たちの姿多数と、TV版解説という定番。オールカラーです。
  • 公式サイト:http://www.charliesangels-jp.com/ 派手で楽しいデザインのサイト。トップ画面右下にある「サブカルチャーリー」には主役トリオの人形や、実際に映画に使われたメーカー品のバッグ、オリジナルTVシリーズの歴代エンジェル紹介の紹介などあり。