ギャラクシー★クエスト



★film rating: A
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。

20年前に放送された人気SFドラマ『ギャラクシー・クエスト』。番組終了後の現在も、出演者たちはSFコンベンション出演で食っている有様。哀感さえ漂う、すっかり落ちぶれている彼らのところに現れたのは、コスプレした自称”サーミアン星人”たち。凶悪なサリス星人の侵略から助けてもらいたいと言う。熱狂的なマニアかと思いきや実はサーミアンの言う事は全て真実で、嘘という概念の無い彼らは『ギャラクシー・クエスト』を歴史ドキュメンタリだと信じ込み、出演者のところに助けを求めてきたのだ。いきなり星間戦争の只中に放り込まれた彼らは、何の科学的知識も技術力も持たないままで活躍出来るのだろうか。


いやぁ笑った、感動した、面白かった!


無論『ギャラクシー・クエスト』は架空のTV番組で、『宇宙大作戦スター・トレック)』を元ネタにしているのは明白。プロテクター号なぞデザインは違うのに、撮り方のせいか時々エンタープライズ号そっくりに見えてしまう。クルーも当然そのパロディで、ジェイスン・ネズミス(ティム・アレン)が船長を演じているときは、オリジナルのカーク船長にそっくりな仕草で笑ってしまう。


この映画で笑いの対象にされるのは『スター・トレック』だけではない。まな板に上げられるのはSF、TVドラマでの意味の無い設定やご都合主義、果ては熱狂的なマニアたちと、広範囲に渡っている。しかも小馬鹿にしたものではなく愛情たっぷりなので、見ていて素直に笑える。


デヴィッド・ハワードとロバート・ゴードンの脚本も非常に良く出来ていて、入り組んだ設定にツボを押えたギャグを配して上手い。虚構が現実になり、最後は『ギャラクシー・クエスト』マニアまでも取り込んでしまう展開はパワフルで可笑しいし、また感動的だ。ラストは役者達にとってもマニア達にとっても、幸福そのものなのだ。


ティム・アレンシガーニー・ウィーヴァーアラン・リックマンら一流のキャストが至極真面目に演じているのも、笑いを増幅させる要因の一つになっている。特撮もしっかり出来ているし、最初は画面サイズが1.85:1だったのが、ネズミスが初めて宇宙の脅威を目の当たりにするとき、一気にスクリーンが広がって2.35:1上映になったりと、映像にも力を入れている。ディーン・パリソット監督はこれが劇場2作目だそうだが、全体にもとっちらかないで中々上手くまとめている。


東京・大阪でそれぞれ1館ずつの上映みたいで、これは勿体無い。アメリカから公開1年以上経っている作品なので、ビデオ直行とならなかったのはせめてもの幸いなのは確かだけど。観終わった後に、「Never Give Up! Never Surrender!」の台詞が耳に残る。実際に観れば納得する筈だよ。


ギャラクシー★クエスト
Galaxy Quest

  • 1999年 / アメリカ / カラー / 103分 / 画面比:1.37:1 (最初の2分間), 1:85.1 (最初の20分間), 2.35:1
  • 映倫(日本):指定無し
  • MPAA(USA):Rated PG for some action violence, mild language and sensuality.
  • 劇場公開日:2001.1.20.
  • 鑑賞日:2001.1.21./シネクイント
  • ドルビーデジタルでの上映。公開2日目、日曜日の渋谷パルコ内にある227席の劇場は満席で、若干の立ち見も出る盛況だった。ここの劇場は初めて。各座席にカップフォルダーが備え付けられていたのは流行だろう。場内の傾斜で前の人の頭で画面が隠れないのは良いが、もう少し傾斜があっても良いかも。座高が高い人が前にいると、若干隠れてしまいそう。サラウンドスピーカはJBLだった。
  • プログラムは1,000円もする代物。スナック菓子に似せた袋に緩衝材と一緒に入っています。遊び心は理解出来ます。でも緩衝材には”生物分解できます”とあるものの、ゴミの大量発生を考えると、やはり中身だけ安く売ってくれたほうが有り難いです。肝心の中身は「ギャラクシー・クエスト」の(ニセ)解説も含めて、かなりしっかりしています。
  • 公式サイト:http://www.uipjapan.com/galaxyquest/ 派手なピンクの壁紙に、予告編、プロダクション・ノートなど。意外や文章が充実しています。