バトルシップ



★film rating: B
※A、B、Cの3段階を、さらにそれぞれ+、non、-で評価しています。

ハワイ沖での日米など数カ国合同の軍事演習中に突如異星人が襲来、海域はバリアで出来た巨大ドームですっぽり覆われてしまう。軍人としての才能はあるのに、性格が災いして問題行動ばかりでボンクラなアレックス(テイラー・キッチュ)は、優秀な自衛隊員ナガタ(浅野忠信)らと共闘して、異星人を迎え撃つ!


笑いどころ、突っ込みどころ満載の映画ですが、何に1番ウケたかと言うと、まさかあの懐かしの「戦艦ゲーム」を本当に映像化しているとは、というところ。小学生のときに好きだったあのゲームと、まさか大画面で再会するとは思いませんでしたよ、えぇ。もしあのテーブルゲームで遊んだ記憶がある方ならば、あんな風に映像化するとはと、笑ってしまう事請け合いです。ともあれ全編のんびりと楽しめました。宇宙人登場もあっさりしたもので、意外にもったい付けていません。彼らの宇宙服は、傑作SFホラーゲーム『Dead Space』のモロパクリでしたけどね(まぁ嬉しかったけど)。「中身」も『インデペンデンス・デイ』みたいに弱いのかと思いきや、これがかなり強い。ヘルメット取っても強い。そこそこハラハラさせられます。


最大の突っ込みどころは、多くの人が「この映画、"戦艦"じゃなく"駆逐艦"だろ」と思うであろうところを、最後の最後に楽しいやり方でひっくり返すところ。しかもパールハーバー自衛隊の登場の意義もちゃんとあって、ここは感心しました。全体的に大らかに楽しめるのに、要所要所は「そうか!」と喜ばせてくれる作り、燃えさせてくれる作りになっているのです。これが単に傲慢で自己愛の塊で醜悪な、マイケル・ベイ作品との大きな違いでした。俳優でもある監督ピーター・バーグの演出振りは、『キングダム/見えざる敵』『ハンコック』しか観ていませんでしたが、結構手堅い演出をするとの印象でした。本作では確信犯的にバカ映画を作ってるけれど、根っこはきちんと観客を喜ばせようと意識した映画になっています。好感を抱けます。


浅野忠信テイラー・キッチュの単なる引き立て役でなく、最高に美味しい役。音楽は日系三世で『トランスフォーマー』シリーズのスティーヴ・ジャブロンスキー。指揮はゲーム『メタルギア・ソリッド2』等のニック・グレニー=スミス。まぁ、いつものジャブロンスキー音楽なのですが。


主役を演じたテイラー・キッチュにはピンと来ませんでした。隣のやんちゃなお兄ちゃんなのは良くとも、後半はもっとカリスマ性が欲しい。その優秀な兄役アレクサンダー・スカルスガルド(TV『トゥルー・ブラッド』)は最近よく見ますね。『メランコリア』にも出ていましたし。売れっ子なんですね。登場したときにはヴィゴ・モーテンセンが若く整形した?等と思いましたよ。ブルックリン・デッカー演ずる主人公の恋人も、単なる飾りもののモデル系セクシー美女ではなく、知的で行動的な女性として描かれています。これもベイの『トランスフォーマー』シリーズへのアンチテーゼでしょうか。このご時世に珍しく、通常の35mmフィルム撮影作品でしたが、そのクラシックな仕様もぴったりの、意外にも娯楽映画の王道を行く作りなのも良かったです。


ホームシアターでは再現不可能な大画面&轟音が似つかわしい映画として、映画館で楽しめました。


バトルシップ
Battleship

  • 2012年 / アメリカ / カラー / 130分 / 画面比:2.35:1
  • 映倫(日本):G
  • MPAA (USA):Rated PG-13 for intense sequences of violence, action and destruction, and for language.
  • 劇場公開日:2012.4.13.
  • 鑑賞日時:2012.4.13.
  • 劇場:TOHOシネマズ ららぽーと横浜3/デジタル上映。公開初日の金曜23時25分からの回は、40人以上の入り。
  • 公式サイト:http://www.battleshipmovie.com/ メイキング映像、予告編、DVD等の製品情報、映画情報等。